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■超電脳現実 ゲキトー<GEKITOH>■

■02:ダイブイン・システム(初版)  2013.1.14(月)公開


「す、すみませんっ!」

 今日のテストプレイについて説明が始められようとしたちょうどそのタイミングで、やや乱暴にドアが開けられると、痩せ気味の青年がよろけるように室内に入って来た。

 青年は走ってきたらしく汗だくで、息を切らせ、度のきつそうなメガネを白く曇らせている。彼は小さい声でもう一度「すみません」と言うと、ぼさぼさの髪をばつが悪そうにかきながら案内人に指示されて、唯一空いていた燈たちの隣のBテーブルの席に着いた。


「あの人‥‥そっか、あの人も迷ってたんだ」

 香菜が、まだ息を整えながらぐったりしてるメガネの青年を見ながら、独り言のようにつぶやいた。

「いま入ってきた人、知ってるの?」
「え? はい。えーと、‥‥知ってるというか‥‥私が道に迷ってたとき、すれ違っただけなんですけど‥‥。なんか焦ってるみたいで、すっごい早足だったから、ちょっと印象強くて‥‥」

 燈の問いに、香菜は思い出すように少し小首をかしげて話を続けた。

「でもあの人、全力でこのビルと全然違う方向に向かってたんですよね‥‥」
「‥‥うあー、方向音痴かぁ。‥‥それで遅れたんだ」
「ですね‥‥私も人のこと言えないけど」
「はは‥‥だね」
「ちょっと何話してんの。俺も入れて‥‥って、始まるのか」

 京志郎も身を乗り出して二人の話に入ろうとしたが、テストプレイの説明が再開されそうなので、残念そうな表情で席に座り直した。

「えー、それじゃあ全員そろいましたので、今度こそ始めましょう」

 燈たちの正面に立った男性はフレームレスのメガネの位置を軽く直し、席がすべて埋まったことを再確認すると、ちょっと苦笑気味の笑顔で話を再開した。

「初めまして。私がダイブイン・システムの代表取締役『神城(かみじょう)』です」

 その最初の一言で参加者全体が少しざわついた。

「代表取締役ってことは‥‥社長?」

 燈も、たかがテストプレイに社長が現れるとは予想してなかったので、ちょっと驚き、そしてわずかだが緊張感が高まるのを感じた。それだけ会社としてこのゲームに力を注いでいることの現れにちがない。内容のわからない怪しいゲームだが、少しは期待して良さそうだ‥‥と燈は思った。

「まだ若そー」

 香菜は別の意味で感心したような表情だ。神城はそんな参加者たちの様子などまったく気にすることなく、話を続けた。

「本日は我々が開発中のゲーム『ゲキトー』のテストプレイに参加いただき、ありがとうござます」

 神城が電子黒板の表面に触れると、すうっと『超電脳現実「ゲキトー<GEKITOH>」(仮)』というタイトルが表示された。

「ちょっと‥‥ダサくない?」
「『ゲキトー』って『激闘』のことですよね、きっと」

 京志郎が小声で正直な感想を漏らすと、香菜がそれに応えた。

「だね。‥‥もうちょっとひねってもいいのになー」

 燈も話に加わる。

「あ、でも(仮)だから、名前は変わるかもってことですよね?」

 香菜はなぜだか少し嬉しそうだ。楽しみにしていたゲームをやっと体験できることが、彼女のテンションを高くしているようだが、もともと、ちょっとしたことでも楽しめる性格なのかもしれない。

 他の参加者も初めて知ったゲームタイトルについて、いろいろ想像を巡らせている様子で少しざわついていたが、神城はやはり構わず説明を続けた。

「これから皆さんに『ゲキトー』のテストプレイをしていただくわけですが、その前に私から少し説明させていただきます」

 神城が電子黒板の表面に軽く触れると、ページが切り替わり、いくつかのキーワードが表示された。

「『ゲキトー』は体感型3D格闘ゲームです。ネットワークを介して複数のプレイヤーが同時に参加することが可能なので、1対1だけでなく、複数対複数の対戦も楽しむことができます」

 燈はテストプレイヤーの依頼メールを受け取ったときから『体感型』という言葉が引っ掛かっていた。動く大型筺体で車や戦闘機の挙動を『体感』するゲームはあったが、格闘ゲームの『体感型』は記憶にないし、どんなものになるのか燈にはちょっと想像もつかなかったからだ。

 だが、神城はとくに『体感型』の部分には触れずに、ゲームの概要について説明を続けた。どうやら『ゲキトー』は経験値によるパワーアップなどRPG要素を取り入れた格闘ゲームということらしい。また、別店舗のプレイヤーともネットワークを介して対戦できるようだ。

「最終的には全国規模での対戦が可能になりますが、今日はここに集まっていただいた十六名でのプレイになります。まだ、未完成な部分、調整中の部分も多く、参加人数を絞った形でのプレイになりますが、それでも皆さんの想像を遥かに越えたゲーム体験になることはお約束できます」

『想像を遥かに越えたゲーム体験』とは、自分からハードル上げてるなーと思いながらも、なぜか燈は不思議な期待感を持ち始めていた。神城の自信にあふれ、ややオーバーアクションにも見える姿に何か独特のカリスマ的なオーラを感じていたのかもしれない。それは燈だけではなく、香菜や京志郎、その他の参加者も同様だった。いつの間にか皆、神城の話に引き込まれていたのだ。

 電子黒板の画面は神城の説明に合わせて次々に切り替えられていき、ついにゲーム画面、それもプレイ中の動画が紹介されると、参加者から小さな歓声が上がった。  多人数参加型ゲームではデフォルメされた頭身の低いキャラクターを採用するものも多いが、『ゲキトー』はリアル系の写実的なキャラクターを採用していた。CGのクオリティは十分高かったが、その画面構成は今まで燈たちがプレイしてきた格闘ゲームとは大きく異なっていた。

 対戦型格闘ゲームでは対峙するキャラクタを横から見た画面になっていることが多い。対戦する双方のキャラクターが表示されている状態だ。これに対し『ゲキトー』の画面にはキャラクターが1人しか表示されていない。キャラクター視線になっているのだ。

「これ‥‥プレイ中の画面って言ってたよな?」
「もしかして‥‥やっちまったんじゃないか?」
「なんか‥‥操作しづらそう」

 何人かの参加者から否定的な言葉が漏れた。初めて見るゲーム画面はある意味斬新で、燈たちの高まっていた期待は軽いショックとともに疑問に変わった。これで格闘ゲームとして成立するのか? ‥‥と。すでに失望感で肩を落としている参加者もいたが、神城は気にする様子もなく説明を続けていた。あるいは、参加者のこんな反応を予想していたのかもしれない。

「『ゲキトー』ではリアルなゲーム体験を実現するために、新開発の画期的なユーザーインターフェイス『ダイブイン・システム』を採用しました」

「ダイブイン・システム‥‥って?」
「‥‥会社名と同じですね」
「それだけ力を入れてるってことだろーな。‥‥といってもなあ」

 燈たちだけでなく、参加者のほとんどがまだざわついている。それだけキャラクター視線のゲーム画面のインパクトが大きかったのだ。

「このプレイ画面を見て少し驚かれたかもしれませんが、『ダイブイン・システム』では、基本的に画面がキャラクター視線で構成されます。これはキャラクターを操作するのではなく、キャラクターと一体化してプレイする感覚をもってもらうためです」

 神城の言葉は自信に溢れていた。目の前の参加者たちのざわめきが否定的な感情を多く含んでいるとわかっていながら、それを楽しんでいるようにさえ見える。

「もちろん、このシステムが画期的なのは画面構成だけではありません。ユーザーインターフェイス自体が今までのゲームとは根本的に異なり、未知のプレイ体験を可能にしているのです。おそらく‥‥皆さんにとって、今日の体験は衝撃と言っても言い過ぎではないでしょう。‥‥まあ、これは実際に体験してもらったほうが早いですし、いろいろ機密事項も含まれているので、ここではシステム自体の説明は省かせてもらうことにします」

「ええーっ!」

 燈を含め、参加者のほぼ全員が思わず声を漏らした。『ここまで興味をもたせておいて、それはないだろう』というところだが、例によって神城はそのまま説明を続けている。

「さて、これから皆さんにプレイしていただく『ゲキトー』は、まだゲームとしては未完成ですが、基本的なシステムは、ほぼ完成しており、ゲームプレイ自体は完成形に近いものになっています。そこで社内のテストプレイでは得られない、ユーザーの生の意見を取り入れ、今後の開発にフィードバックしようというのが今回のテストプレイの目的です」

 ここで画面が今日のスケジュールに切り替えられた。

「では、本日のスケジュールについて説明します」

 テストプレイは昼休み1時間を挟んで午前に二時間、午後も二時間。プレイ後はゲームの感想、プレイ中に見つけた不具合の報告や要望、改善点などを出し合うディスカッションの時間となっていた。昼食はダイブイン社で用意しているということだ。

「プレイ時間、四時間しかないじゃん。‥‥ちょっと短いなー」
「ですよねー。ディスカッションとお昼の時間を半分にしちゃえば、あとニ時間はプレイできるのに‥‥」
「そうそう! 俺もそう思う」

 燈がプレイ時間について不満を漏らすと、香菜と京志郎もそれに同意した。おそらくほとんどの参加者が同じ気持ちであっただろう。神城もそれは予想していたようだ。

「実は『ダイブイン・システム』は非常にリアルな体験を実現できる反面、少し脳への負担が大きいユーザーインターフェイスでもあります。そのため初体験の皆さんのプレイ時間は、このぐらいが適当と判断しました。また、プレイ時間が短いと感じた方がいるかもしれませんが、実際にプレイすれば、その不満は解消されるはずです。これも『ダイブイン・システム』ならではの特徴なのです」

 神城はプレイ時間の短さをフォローしたつもりだったが、それは参加者に少し不安を感じさせる内容だった。

「脳への負担が大きい‥‥って、どーいうことなんだろ?」
「なんか‥‥ちょっと怖いかもですよね」
「それだけプレイ中の情報量が多いってことかもしれないな」

 燈には不安より疑問の方が大きかったが、香菜は多少なりとも不安を感じている様子だ。京志郎は自分なりに推測をしているようだった。ほかの参加者たちも、またざわついているが、ここで神城の声が明るめのトーンに変わった。

「ところで、皆さんにはテストプレイの為に集まっていただいたわけですが‥‥ただ開発中のゲームをプレイして感想を述べるだけ‥‥というのでは物足りないと思っていませんか?」

 神城は不精髭が残る顎を軽く撫でると、いかにも何かありそうな”にやり”という擬音をつけたくなる表情で話を続けた。

「そこで‥‥ささやかですが、テストプレイの報酬とは別にゲームの成績に応じた賞金を出すことにしました」

「おおーっ」

 神城の言葉に参加者たちがどよめいた。実際は大手ネット通販のギフト券という形で支給されると説明されたが、品揃えが非常に豊富で、ほとんどの参加者が利用しているようなネット通販会社だったので、参加者に大きな不満はなさそうだ。

「賞金かー!」
「燃えますねーっ!」

 燈と香菜も先ほど感じた不安はとりあえず忘れて、他の参加者と同様、やる気モードになっていたが、京志郎は二人ほど熱くはなっていなかった。

「賞金か‥‥ゲームの出来に自信がないから、俺達を本気にさせるための餌が必要だった‥‥とも考えられるな」
「え、餌? ‥‥ですか?」
「あのな‥‥それ、ちょっと考え過ぎじゃないの?」

 やる気に水を差された燈は少々呆れ顔だ。

「そーか? ゲームがつまんなくて、作業的なプレイになっちゃうと、たいした感想や意見も出ないんで、賞金でも出してやる気になってもらおう‥‥って考えても不思議はないと思うんだけど」
「んー、たしかに一般公開もしないテストプレイに賞金出すなんて、太っ腹過ぎる気もしますねー」
「な‥‥怪しいだろ?」

 香菜は京志郎の推理にも一理あると思ったのか、少しテンションが下がり気味だ。

「‥‥ったく、相変わらず疑り深いなー、京志郎は」
「燈が単純すぎるんだって。‥‥まあ、せっかく賞金くれるっていうんだから、本気(マジ)でプレイはするけどな」
「ふふ‥‥そこまで疑うこと、ないと思うわよ」
「‥‥え?」

 今まで神城の説明に、ほとんどリアクションを見せなかった京志郎の隣りの女性が、初めて燈たちの会話に加わった。

「あ、あの‥‥それって、どーいう意味ですか?」

 京志郎が少し歳上っぽい女性に対し、ちょっと緊張気味に質問した。

「このゲーム、たしかにまだ開発中だけど本当にすごいし、面白いわよ。賞金を出すのは‥‥そうね、君達みたいなコアなゲーマーが本気でプレイしたときのシステムの負荷を見たいから‥‥ってとこね」
「ホ、ホントですか、それ? ‥‥っていうか、なんでそんなこと知ってんですか!?」
「それは‥‥んー、ほら、もうちょっと神城さんの説明を聞いてればわかるかも」
「え?」

 女性は胸元まである少し明るめの色の髪を指先で弄りながら、悪戯(いたずら)っぽい笑みで京志郎たちに神城の話を聞くようにと促した。

「えーと‥‥そーですね。それじゃー説明の後でまた聞きます」
「りょーかい」

 女性が笑みを浮かべたまま軽く頷き、正面に向き直ると、京志郎たちもそれにならった。京志郎はもちろん、燈も香菜も本当はまだ彼女の正体のほうが気になってはいたが、今は説明を聞くことを優先し、神城の話に意識を戻した。

 その神城はちょうど各順位ごとの賞金と副賞についての説明を終えようとしているところだった。賞金が出るのは上位四人までだが、全員に副賞‥‥つまり参加賞として、有料ネットゲームの一カ月分のプリペイドカードがもらえるということだ。電子黒板に内容がまとめられていたおかげで、途中からちゃんと説明を聞いていなかった燈たちも、聞き逃していた部分を補足することができた。

「まあ、俺には優勝以外の賞は関係ないけどな」
「あー‥‥燈、言っとくけど、お前の優勝は無いって。俺、いるから」
「ほーう? 怪しいとか言ってなかったか?」
「出るものはありがたくもらっておく主義だからな」

 互いに不適な笑みを浮かべ、横目で牽制しあう燈と京志郎。二人は友人であると同時にライバルなのだ。

「負けないですよー。私、欲しい服あるんです!」

 香菜のテンションも復活したようだ。もちろんやる気になっているのは燈たちだけではない。ここに集まっているのは、もともと負けず嫌いのゲーマーたちばかりだ。もし、賞金がなかったとしても、順位がつくゲームで燃えないわけが無い。それがコア・ゲーマーの習性なのだ。

「えー、ここでちょっと報告しておくことがあります。実は今回のテストプレイには我々の開発スタッフからも四人が参加します。開発スタッフには、すでにこのゲームをある程度プレイしているというアドバンテージがありますが、優秀なゲーマーである皆さんなら十分、スタッフに対抗できるはずです。頑張って賞金獲得を目指してください」

 参加者から「えーっ!」という分かりやすい不満の声が上がった。しかし、それでやる気がそがれているわけではなさそうだ。

「ずっるいなー。ちょっと反則じゃないのそれ」

 燈も不満を口にしてはいたが、口元には笑みが浮かんでいる。多少不利な条件の方が燃えるタイプなのだ。

「まあ‥‥甘くは無いよ、ってことか。さしずめスタッフは四天皇ってとこだな」
「ぜーったい、強いですもんねー」

 京志郎は見た目の軽さとは裏腹に慎重派だ。しかし、燈と同じく不利な状況を楽しむところもあった。強敵を警戒しつつも、彼らとの対戦を楽しみにしているようだ。それは香菜も同様で、強敵の参加を歓迎しているようにさえ見える。

「ところで‥‥さっきの話の続きですけど‥‥」

 京志郎が思い出したように隣の女性に声をかける。

「えっと、さっき神城さんの話を聞いてればわかるって言ってたのって‥‥つまり開発スタッフってこと‥‥ですよね?」

 女性は少し困ったような笑みを浮かべてうなずいた。

「そうなの。駆り出されちゃって‥‥。神城さんの説明が終わったらちゃんと自己紹介するわね。たぶんそろそろ終わるから、とりあえず最後まで聞いちゃって」
「あ‥‥はい。じゃ、あとで」

 京志郎たちのやり取りを聞いていた燈と香菜も軽く頷いて、再び神城の説明に耳を傾けた。

「さて、賞金についてはここまでです」

 神城は参加者たちのざわめきが、ある程度収まるのを見計らって話を再開した。

「では、『ゲキトー』の内容について説明しましょう。‥‥といっても実際にプレイしてもらった方が早い部分が多いので、ここでは簡単に概略だけ話すことにします」

 ここで電子黒板の表示がゲーム構成の説明に切り替わった。

「『ゲキトー』は二つのステージで構成されていています。第一ステージはゲームシステムに慣れてもらうためのトレーニングステージ、第二ステージはプレイヤーどうしの対戦バトルステージとなっています。今、四人づづのグループになってもらってますが、第一ステージではその四人で‥‥RPGでいうパーティーを組んで、規定時間内に目的地へ到着することがクリア条件になります。各パーティーには一人づつ開発スタッフが組まれているので、ゲーム中に気になることやわからないことがあれば気軽に聞いてください」

 ここでまた少し、参加者がざわめいた。格闘ゲームではパーティーなど組まないのが普通だからだ。燈たちのようにすでに打ち解けているグループもあったが、見知らぬ者とパーティーを組むことに不安を持った者も多かった。

「燈、俺らの足引っ張るなよ」
「ちょ、そこまでヘボくねーよ!」
「ヘボいんですか?」
「だからヘボくないって!」

 燈が個人戦のスキルの高さに比べ、団体戦を少し苦手にしているのを京志郎はよく知っていた。とはいえ、心配するほどではないと思っているからこその軽口でもある。香菜も心配しているというよりは、単純に突っ込みたかっただけのようだ。

「第二ステージは一対一の対戦となり、第一ステージでパーティを組んだ仲間も敵となります。仲間意識は捨てて全力でプレイしてください。さきほど話した賞金は、このステージの成績に応じたものになります。なお、先ほど説明したように『ゲキトー』は経験値によるパワーアップを採用しています。第一ステージはトレーニングステージといいましたが、ここでどれだけ経験値を稼げるかも、第二ステージで好成績を挙げる鍵になります」

「ようするに第二ステージが本番ってことか」
「あのな‥‥闘いは第一ステージから始まってるってことだよ。ちゃんと話、聴いとけよ」
「え? そーなの?」
「ライバルが減りましたねー」

 京志郎の突っ込みを受けた燈のきょとんとした表情を見て、香菜がくすくす笑いをこらえている。

「さて、少し説明が長くなったので、そろそろ皆さんも私の話に飽きてきた頃ですよね。具体的なゲームの操作方法は実際にプレイしながら身につけてもうことにして‥‥ゲームを始める前に、まず『ゲキトー』の世界で皆さんの分身となる『アバター』を作成してもらいます」

「アバター?」
「なーんか、ますますRPGっぽくなってきたなあ」
「ですねー」

「アバターは後ろのボックスで作成してもらいます。ただ、今回はアバター作成用のマシンが四台しか準備できなかったので、四人づつ‥‥パーティーを組むグループ単位でアバターを作成してもらうことにします」

「あの箱、アバター作成用ボックスだったんですね」

 香菜が後ろを振り返り、四つ並んだ黒っぽいボックスを見つめてつぶやいた。

「アバター作成用とは思いつかないよなー」
「ですよねー」

 神城は後ろで待機していた社員がアバター作成用ボックスの準備を整えたことを確認すると、軽くうなづいて参加者へ向き直った。

「アバター作成中、待っているグループは自由に談笑していただいてかまいせん。 第一ステージはチームプレイの要素もあるので、ここで親睦を深めておくのも良いかもしれないですね。それではまず、Aグループからどうぞ」

「お、俺たちだ!」
「トップバッターか‥‥。二、三番目の方が情報収集できて良かったのにな」
「ふふ‥君は本当に慎重派ね。さ、行きましょ」
「あ‥‥はい」
「よし、行こー!」
「ドキドキしますね」

 最初にアバターを作成することになり、参加者の視線が集まるのを感じながら、燈たちは黒っぽいボックスへ向った。


           ‥‥ つづく



■予告

 燈「なかなかゲームが始まらないなー」
 香菜「そんなわけで、次回『メイク・アバター』に、ちょっぴりご期待ください!」
 京志郎「”ちょっぴり”なの?」
 香菜「たぶんアバター作るだけですから」
 京志郎「えーっ?」
 燈「早くゲーム始めようよ」



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公開日:2008.11.17
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